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・外資系投資銀行ってどんなところ?
・房広治さんの実績を知りたい!
・IBDってなんの略?

こんな疑問に答えます。

EXCを開発した房広治さんは、インベストメントバンクの出身です。
この業界は専門用語や横文字が多く、業界を知らない方からするとなんのことかわからないのと思うので、できるだけ易しく解説してみたいと思います。
房さんのメルマガなどにも度々登場する業界なので、概要を知っていると理解が進んで楽しくなると思います。

この記事の内容を理解すると、以下のメリットがあります。

本記事を読むとわかること
・外資系投資銀行の業界構造について理解できる
・房広治さんの考え方の前提知識や背景を理解できる
・EXCに応用された理論の出典を理解できる
・房広治さんの話を理解しやすくなる
・房広治さんの実績のすごさを実感できる

また、下記の記事と合わせて読むと理解が深まります。

外資系投資銀行を一言で表すと?

外資系投資銀行という単語は下記のように分解して考えることができます。

・外資系・・・外国籍の企業
・投資銀行・・機関投資家を主な顧客とする証券会社

機関投資家を顧客とする外国籍の証券会社といえそうです。

日本の証券会社は個人投資家と機関投資家の両方を対象にサービスを提供します。
一方、外資系投資銀行は原則として個人投資家を相手にしません。より大きなお金が動く機関投資家にターゲットを絞った証券会社が投資銀行です。
規模が大きくダイナミックな取引のみを扱って、大きくお金を稼ごうということですね。

投資銀行(インベストメント・バンク)という名前の由来は「投資銀行部門(インベストメント・バンキング)」から来ています。
投資銀行部門は、M&Aと呼ばれる企業の合併・買収や、新規に上場する企業の株式公開(IPO:Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物))業務を行う部署です。
房さんが新卒で入った部署がこの投資銀行部門(IBD:Investment(投資) Banking(銀行) Division(部門))でした。

ブラック企業もびっくりの労働時間

IBDはハードワークで有名で、働き方改革の前までは、勤務時間は「9時5時」が当たり前ともいわれていました。朝9時に出社して帰りは翌朝の5時ということです。
房さんも相当なハードワーカーだったと思われます。

これは、優秀な少ない人数で業務を回せば、一人あたりの売上と給与は大きくなるという発想に基づいています。
GVE社も、バックオフィス業務はすべてアウトソーシングすることで職員を増やさず、最大でも8人程度の構成で上場を目指すそうです。8人という人数は、房さんが投資銀行部門で日本一の成果を叩き出した年のチーム人数に近い数字です。

旧来、投資銀行部門は投資銀行の花形の部門で、特に欧米では優秀な学生はここに入ることを目指して大学生活を過ごしてきました。

投資銀行の構造

伝統的な投資銀行は、大きく2つの部門にわけることができます。

・ 投資銀行部門
・ マーケット部門

この2つの部門は一体不可分の関係にあります。投資銀行部門では、マーケット部門(とくにトレーダー)の協力がなければ実行できない業務が数多くあります。

投資銀行部門についてはさきほど解説したので、以下はマーケット部門について見てきます。
マーケット部門は、さらに大きく4つの部署に分解できます。

① セールス&トレーディング部門
② ストラクチャリング/金融商品開発部門
③ リサーチ部門
④ アセットマネジメント部門

※厳密には②ストラクチャリングはミドルオフィス部に属することが多く、マーケット部門といってしまうと語弊がある場合もあります。
※③リサーチ部門は独立性を保つために独立した部門とする投資銀行もあります。④アセットマネジメント部門も同様に、別法人や別の部門となることがあります。

① セールス&トレーディング部門

セールス&トレーディング部門には、大きく2つの職種があります。

・トレーダー
・セールス

上記の2つの職種は一体不可分の関係にあります。

トレーダーは市場で取引を執行します。ディーラーと呼ばれることもあります。
トレーディングの内容は、顧客の注文を執行する「マーケットメイク」と呼ばれる業務と、自社のバランスシートをリスクに晒して利益を追求する「自己勘定取引」の2つに分類されます。「自己勘定取引」は金融危機以降の規制により基本的には禁止されているので、今日では「マーケットメイク」が主な業務となっています。

セールスは主に機関投資家に営業を仕掛けて、金融商品の販売や取引執行の契約を取り付けます。
セールスは顧客から注文を受けるとトレーダーに連絡し、トレーダーが取引を執行します。このとき、トレーダーは自社でリスクをとることによって利ざやを確保します。
たとえば、顧客にはA社の株を一株1,000円で調達すると約束しておいて、市場から一株950円で調達することに成功すれば、50円×株数がトレーダーの利益となります。

セールスが顧客に具体的な価格を提示するためには、トレーダーにそれが実行可能か意見を聞く必要があります。このようにセールスとトレーダーは密接な関係にあるため、投資銀行によってはこれらの職種を明確に分離しないで、職種名を「セールス&トレーダー」として一人が両方の職種を兼任する仕組みにしています。

また、セールスが顧客に販売する金融商品は、自社のクオンツと呼ばれる職種によって開発されています。

② リストラクチャリング/金融商品開発部門

金融商品開発部門クオンツは、金融工学などの知識を駆使して、市場や金融商品の分析を行っています。彼らが開発した金融商品をセールスが顧客に販売します。なお、リストラクチャリングと呼ばれることもあります。

また、顧客の要望に応じて顧客の好みを反映させた金融商品を開発しています。金融工学を駆使するとリスクの性質を変化させることが可能なため、仕組債やデリバティブの形を取ることで自由度の高い金融商品を組成することができます。

しかしながら、金融工学ではリスクの性質を変化させることはできても、リスクの絶対的な大きさを低減させることは基本的にはできません。たとえば、金融危機の原因となったサブプライム・モーゲージは、金融商品の組成過程でリスクが低減したと勘違いした格付会社が最高ランクのAAAを付していました。しかし実際にはそんなことはなく、ひとたび綻びが生じると格付けに関わらず連鎖的に破綻してしまいました。

その意味では、クオンツはEXCの価値を直感的に理解できると思います。EXCがもつオプション仕組みは、今までの常識では考えられないものだったからです。

③ リサーチ部門

株や債権、経済を分析する部門です。分析結果をレポートにまとめて、顧客に販売します。日本では「調査部」と呼ばれることもあります。

かつて、リサーチ部門は投資銀行部門等の他の部門と密接な関係にありました。リサーチ部門のレポートを顧客に提供することで、高額な報酬に説得力をもたせる意味合いが含まれていたためです。
利益相反の問題から、金融危機後は規制の影響でリサーチ部門は他部門から切り離され、独立性を高めています。リサーチとIBDは階数が異なりエレベータも別、職員同士の会話は禁止という会社がほとんどです。

④ アセットマネジメント部門

顧客から資金を預かり運用する部門です。グループ内の別法人としてアセットマネジメントの機能を持つ会社も多くあります。

房広治さんの古巣であるスイスのUBS証券は、ウェルス・マネジメントと呼ばれる富裕層向けの資産管理サービスを提供していることで有名です。

房広治さんの実績

房さんはもともとは投資銀行部門の出身ですが、後にマーケット部門やアセットマネジメントのトップも務めています。

これは業界では異例のことです。なぜなら、解説してきたように投資銀行ビジネスは部門によって内容が大きく異なり奥が深いため、一つの部門でトップまで上り詰めた人でも、自分の専門領域以外のことはよくわからないという状態になりがちだからです。

房さんはそのすべての分野で一流の実績を残しました。これは房さんのいう「鳥瞰図」の精度を高めることに貢献したのではないでしょうか。

投資銀行ビジネスは転換期にある

金融危機の際、世界的に有名な外資系投資銀行のほとんどは、資本増強のために銀行持株会社へ移行しました。そのため今日では、伝統的な投資銀行としての組織体系を維持しているのは世界で野村證券だけです。

その野村證券も、近年は営業収益の低下に苦しんでいます。一方、好調な投資銀行は世界8位の時価総額を誇るJPMorgan Chase傘下のJP Morganです。
商業銀行と投資銀行の組み合わせは非常に強力なシナジーを見込めます。たとえば、投資銀行でIPO業務を行う際に、グループ内の商業銀行から融資を提供することも可能となります。

Googleが銀行業に参入するというニュースがありましたが、金融とITの距離は今後ますます縮まっていくと思います。
房さんがおっしゃるように、金融はITによる代替が進みやすい分野です。

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