・ネパールはなぜEXCプラットフォーム導入を決めたの?
こんな疑問に答えます。
日経新聞と週刊エコノミスト誌によると、ネパール政府はネパールルピーのデジタル化に向けて動き出しました。
日本のテック・カンパニーであるGVE株式会社と国際協力機構(JICA)が協力し、ネパールのデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推し進めます。
これを可能にするのは、GVEが14の特許を持つEXCプラットフォームです。
今、GVEが世界のデジタル・トランスフォーメーションの常識を大きく変えようとしています。
GVEについて理解すれば、国際的なDXの潮流の最先端を知ることができます。
今回は、GVE株式会社が主導するネパールへのデジタル通貨プラットフォーム導入について考察します。
この記事の目次
GVE株式会社とは?
GVEとは、デジタル通貨プラットフォームを開発する日本のフィンテック企業です。
GVE社が特許を持つデジタル決済システムはEXCと呼ばれ、IMFがデジタル通貨に求める11の基準のすべてを満たしています。
GVE株式会社の歴史
GVE株式会社は、2017年11月に設立されました。
2018年4月にEXCプラットフォームの特許が成立(特許第6316530号)し、2018年の11月からデジタル・バンキング・モジュールのテスト運転を開始しています。
GVE株式会社の構成員
GVEの鍵となる2人の人物を紹介します。
金融エキスパート 房広治氏
GVE株式会社のCEOは房広治氏です。
房氏は外資系投資銀行のUBS証券のヘッドやCredit Suisse証券の投資銀行本部長を歴任した後、ヘッジファンドを設立してファンド・オブ・ザ・イヤーを受賞。
日本発のFX会社であるDLJディレクトSFG証券を立ち上げた張本人であることから、金融とITの両サイドに深い造詣のある稀有な存在です。
天才エンジニア 日下部進氏
そして、アドバイザーには日下部進氏が就任しています。
日下部氏はフェリカを開発した実績があり、NFC(Near Field Communication)やおサイフケータイなど、現代のペイメント・システムの礎を築いた方です。
「海外でNo.1の知名度を誇る日本のテックの神様」であり、超一流のエンジニア。
EXCプラットフォームの構想は房氏が発案しましたが、日下部氏の協力があったからこそ実現できたといえます。
EXCの開発者については、下記の記事でより詳しく解説しています。
EXCプラットフォーム(EXコイン)とは?
EXCプラットフォーム(EXC)とは、GVE株式会社が独自に開発した次世代のデジタル通貨プラットフォームです。
近年注目されているCBDC(セントラル・バンク・デジタル・カレンシー)として求められる基準のすべてを満たしています。
EXCプラットフォームの特徴
EXCプラットフォームには、大きく6つの特徴があります。
・ 高速決済処理
・ 利便性
・ 他の決済サービスとの互換性
・ ローコストオペレーション
・ 手数料の最小化
これらの技術はGVEが持つ14の特許によって裏付けられており、一強総取りのデジタル化時代において他を寄せ付けない優位性があります。
日本でCBDCが注目を集めているのは2019年以降のことですが、GVE社はその1年半以上前、実質的に同じ意味のDCB(デジタル・セントラル・バンク)の概念を提唱し、商標登録しています。
世界で中央銀行デジタル通貨の研究・開発が進む中、GVE株式会社はそのトップを走っています。
EXCの構造
EXCプラットフォーム上で流通するトークンは、EXCトークンと呼ばれます。
下記の通り整理できます。
・ EXCトークン(CBDC: Digital Currency)
EXCトークンとは、言い換えるとEXコインのこと。
デジタル・バンキング・モジュールのテスト運転の一環として、すでに海外のFX業者が運営する暗号通貨取引所に上場しています。
参考までに、EXCに投資する方法についてまとめた記事を掲載します。
GVEの房広治氏がネパールでTV出演
房広治氏がネパールTV(Prime Times TV)に再び出演されました。
GVEが推進するネパールでのデジタル・トランスフォーメーションや、ネパールの経済発展について議論しています。
短期間で2回目のTV出演となることから、ネパールがGVE社に高い期待を寄せていることが伺えます。
JICAが協力準備調査にGVE株式会社を採択
JICA(Japan International Cooperation Agency)が協力準備調査にGVE株式会社を採択しました。
JICA(独立行政法人国際協力機構)とは、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関。開発途上国への国際協力を行っています。
日本経済新聞によると、今回の調査ではまず「現地の金融、IT(情報技術)、法律などの状況を調べる予備調査に最大3千万円を支援」します。
「デジタル技術を活用した取り組みを支援し、海外で蓄積したノウハウを日本で再活用することも想定している」ようです。
週刊エコノミストによると、JICAが協力を決めた理由は「決済プラットフォームがもたらす"デジタル・トランスフォーメーション(DX)"は、ネパールのような発展途上国ほど効果が期待できるから」だそうです。
外務省所管のJICAからも期待を寄せられていることが読み取れます。
ネパールがEXC導入を決めた理由
ネパールでは、セキュアな送金ルートの確率が喫緊の課題です。海外から国内に仕送りをするネパール人労働者は、送金の際しばしばトラブルに巻き込まれます。
また、国民の4割は銀行口座を持たず、国家の血流ともいえる資金移動の手段が乏しい状態にあります。
これでは、ネパールにとって経済発展の大きな足かせに。
スマホの普及率は非常に高い
一方で、ネパールでは約4,000万台がスマートフォンが流通しています。これは総人口の約1.5倍にあたり、少なくとも1家に1台のスマホがある計算です。
このスマートフォンを活用して金融インフラを構築できれば、銀行口座を普及させる場合に比べて極めて低コストで便利な決済が可能となります。
そこで、CBDCの分野で世界一の技術をもつGVE株式会社に白羽の矢が立ちました。
DX化の恩恵は決済にとどまらない
房広治氏は、EXCプラットフォームによるデジタル・トランスフォーメーションの結果、決済以外にも多くのメリットがあることを強調しています。
たとえば、エストニアのように国家・国民の様々な情報を電子化することで、利便性を向上させつつ行政にかかるコストを削減可能に。
同様に、医療や資産のデジタル化も簡単に実現できます。電子カルテや著作権の電子化によって、経済活動が円滑になります。
なによりも、無駄なコストを削減することはGDPを押し上げる要因になります。
EXコインの価格への影響
一国の中央銀行がEXCプラットフォームを導入する場合、外貨準備高として法定通貨をEXC建てにするインセンティブが生じます。
デジタル・セントラル・バンクは借金を持たず財務的に健全であり、買いオペレーションの保証もあります。
そのため、今までにない安全資産としての意味を持つためです。
経済的実態としては、EXCと法定通貨のスワップとして捉えることができます。
実際に計算してみる
仮にEXC(EXコイン)の価格が12,300ドルのときに5,000枚をスワップすると、EXCの価格は17,299ドルまで上昇します。
ネパールがスワップのために拠出する合計金額は73,997,500ドルです。
2020年3月7日の為替レート105.3ドルで計算すると、日本円にして7,791,936,750円。
約78億円です。
EXコインの価格はどこまで上がるのか
問題なくネパールへのEXCプラットフォーム導入が進んだ場合、EXCと法定通貨の通貨スワップを締結すると、その分の価格上昇が市場価格に反映されます。
これをアービトラージ(裁定取引)の機会だと考える投資家は、EXCをロング(購入)するはずです。
しかし、プロジェクトが頓挫する可能性を考慮したり、現状EXコインの上場先が日本ではないことをリスクと考え、材料が出揃うまで様子をみるという考え方もできます。
今後さらに多くの情報媒体がGVE社とEXCを取り上げ、プロジェクトが進展していき成功の確度が高まるに連れて、EXCへの投資を考える方は増加していくのではないでしょうか。
まとめ
GVE株式会社とは、デジタル通貨プラットフォームを開発する日本のフィンテック企業です。
GVE社が特許を持つデジタル決済システムはEXCと呼ばれ、IMFがデジタル通貨に求める11の基準のすべてを満たしています。
EXCプラットフォームの導入を決定したネパールは、これから途上国を脱し、デジタル・トランスフォーメーションの先進国へ。
引き続き目が話せません。
なお、週刊エコノミストの記事はGVE株式会社の公式サイトからダウンロードすることができます。
ぜひご覧ください。
EXコインに興味を持たれた方には、下記の記事がおすすめです。